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この十年、バブル崩壊の影響で多くの日系金融機関が撤退し、それに歩調を合わせるように、いくつかの日本料理店が廃業した。
シティだけでも「花」、「伊万里」、「大門」、「英国閣」などが次々に姿を消した。 しかし、その一方で、この数年の間に開業した回転寿司は盛況だ。
この現象だけを見るなら、手軽で経済的な回転寿司がはやり、従来の高価な日本食レストランが撤退しているような印象を受けるが、ことはそう単純ではない。 というのは、ここ数年の間に開店した、新しい感覚の日本食レストランが人気を博しているからである。
その代表格は「ノブ」(NOBU)である。 「ノブ」は、ハリウッドの俳優R・デニーロ氏と日本人シェフM信久氏が提携して開いたレストランとして、よく知られている。

本店はニューヨークにあり、東京にも支店がある。 ロンドンの「ノブ」のウェイターやウェイトレスは皆、イギリス人である。
彼らの立ち居振る舞いは洗練されている。 ただし、客が店に入って来た時は日本語で「いらっしゃいませ」と元気よく叫ぶ。
この挨拶だけは、日本の寿司屋風である。 客の九割はイギリス人だが、とくにシティに勤務する若いイギリス人に「ノブ」は人気がある。
このレストランはいわゆる有名店だが、シティ中は、ただ有名だから、という理由だけで押しかけたりはしない。 繁盛するには何か別の理「ノブ」だけではない。
「ノブ」を追いかけるように開店した日本食レストラン「ズマ」(ZUMA)もイギリス人の客で満員だ。 最近開店した「スモウサン」(SUMOSAN)もなかなかの人気だ。
日本のバブル崩壊と金融機関の撤退で左前になった日本料理店がある一方で、バブル崩壊後に開店したこれらの店はなぜ成功したのだろうか。 好景気の中で、イギリス人の間で「食」への関心が高まり、ヘルシーな「食」として日本食への志向が強まったということもあるだろう。
同時に、イギリスの若い世代に積極的に異文化を受容する幅の広さが出て来た、ともいえるだろう。 それだけではない。
「ノブ」や「ズマ」が人気を呼んでいるのは、彼らが旧来の日本食レストランと違って、日本人向けの日本料理にこだわらず、イギリス人を対象にした日本料理を提供しているからである。 「ノブ」には、一流の日本人シェフがいて、鮮度のよい素材のみを使い、客に出す器のひとつひとつにも気を配っている。

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